「専門家が選ぶ建物が魅力的な美術館・ベスト10」
一位は豊島美術館、二位は豊田市美術館…。
電子版の日経新聞で読んだ記事にはこう載っていました。
私が15年前ほどに、豊田市美術館は訪れたことを思い出し、その記事に豊田市美術館は「庭園と一体、優美な景観」と書いてありました。
私がこの美術館に訪れた時、立地条件、建築、そしてランドスケープの調和のとれた美を感じたことを思い出します。当時、青春18切符で九州から東京にかけてランドスケープや建築を見て回っていた時に、米国で有名なピーター・ウォーカーの作品を見てみたいと思い、ここに訪れました。ここの美術館の素晴らしさは、七州城の城跡の高台に位置した立地条件です。昔の人は、やはり景観の素晴らしい位置を知っており、その場所にお城を建てたのでしょう。そして建築と庭、特に水景と建築の一体化した内と外の関係は、まさに美術館にはピッタリの空間です。茶室「童子苑」があり、昔が城跡であったことを忍ぶことができるのも、とても良いです。
この建築は、のちにニューヨークの近代美術館を設計した谷口吉生氏、ランドスケープはニューヨークのグラウンドゼロのランドスケープを設計したピーター・ウォーカーと巨匠のコラボレーションになっていますので、ぜひ見に行くのもよいと思います。
さて、このことについて書いたのは、「見えない庭」というピーター・ウォーカーとメラニー・サイモの米国の近代ランドスケープの歴史の本を読んだからです。学生の頃は、この本のランドスケープの歴史に登場する人物に、あまりピンと来るものが無かったのですが、実務をしていろいろな分野や業界の方に関わると、このような近代史を振り返るのも良いものだと思いました。
ここには、セントラルパークのオルムステッドに始まり、ロバート・ブール・マルクス、ルイス・バラガン、イサム・ノグチのアートとランドスケープ、そしてトーマス・チャーチのモダン・ランドスケープへの流れを読み取ることができます。これらは、後にEDAW(現AECOM)の創始者の一人であるガレット・エクボの時代から、ランドスケープ計画の複雑化と近代化により、社会的に重要な役割を担うようになったようです。
エクボは環境のデザインを行う二つの戦略にはこう提示している。
「第一に、協同することを求める人間の基本的な本能を強化すること。それなくしては社会が存続できない。第二に、プランナーやデザイナーが彼らの努力の成果を認識させることである。成果とは、壮大な空間や美しく囲い込まれた場所でなく、その中にうちとけ、成長し、発展する人びとのことである。」(p.116)
きっと、社会の複雑な都市問題を解くには、コラボレーションの大切さが必要であることをエクボが気づいたのだと私は思いました。
この本には、私が好きなローレンス・ハルプリンから、ダン・カイリー、ヒデオ・ササキ、更には組織系事務所のSWAまでの歴史が書かれています。いくつか、私が気にいった部分を以下にメモ » Read more: ピーター・ウォーカー 豊田市美術館 見えない庭