以前紹介したGreenacre Parkの続きになります。7年前に私のLSU大学院のMax先生と学生達と一緒にフィールドトリップで、この公園には初めて訪れました。そのとき、ハーバード時代のMax先生の先生が、この公園の設計担当をしたKinoshita氏らしく、いろいろと話してくれました。その話によると、Kinoshita氏はサーリネンの事務所で働いていた時に覚えた、実寸スケール、つまり1:1のモックアップをこの公園の施工時にやったそうです。ですから、この小さな公園には、多くのディテールも見応えがあります。マテリアルの使い方も、アメリカらしい力強さを感じさせつつ、石という日本的な素材も多くに使われています。まず最初に注目したいのは、エントランス部には、彫られた御影石にエッチングによるとてもシンプルなサインとトレリスです。
よく観るとその上には、このような言葉が書かれています。
“Some Moments of Serenity in this Busy World”
– 忙しい世界に静寂なる時を。
きっとこのような空間を混沌とした都市の中に作り出すことがこのポケットパークの目的なのでしょう。特に都会の生活は、多忙でストレスであふれています。Greenacre Parkのようなオアシス的な空間は、人の気持ちをリラックスさせるには最適ですし、小さなスペースでもデザイナーの腕によって見違えるような空間に変身させることが出来ることが分ります。
また、エントランスのトレリスが、ビジュアル的なフレームになると共に、美しい影を階段に落としています。絵画にあるような、額縁的な効果により、視覚を引き締めていると思います。
このラフに加工させた御影石の厚さを変化させることにより、空間に面白みを与えています。平坦になりがちな壁もより有機的に、自然的に見えるのではないでしょうか?
そして、その壁の前には、水が流れ、座ることができる空間を作っています。とても素晴らしい都市公園のデザインです。
水を流すのにもいろいろな表現が出来るのが、この公園に来てみると、よく分ります。
今回は、石を中心にしたディテールを観ましたが、この公園には、メインの水と緑、更には、ニューヨークの寒さの冬に対応した仕掛けがしてあります。そのことについては、次回に書くことにします。